聖母子とピエタ
 幼子イエスを抱く 聖母マリア を思わせるポスターは 「ロシアは救われなければならない」 と呼びかけています。
 ロシアでは、1917-18年年の革命後も内戦の混乱が続いて経済が破綻したため、ロシア救援の活動が党派を超えて国際的に呼びかけられました。
 抱かれている幼児は救援を待っている子どもたちであり、同時に4歳の新生ロシア
(後のソビエト連邦)をあらわしています。 腕をだらりと下げているのは、幼児が眠っているのではなくて 死んでいることをあらわす絵画表現です。 このポスターのイメージが聖母子像だけでなく、ピエタ (十字架で死んだイエスの遺体を抱いて悲しむ聖母マリアの像) を思い起こさせるため、欧米キリスト教圏の人々に強く訴えかけます。
誰にもわかる “ことば” で
 ミュシャは、どの国でも理解できるように、「聖母子」 と 「悲しみの聖母」 のダブル・イメージでポスターを描き、キリスト教古典語のラテン語でロシア救済を訴えました。 この呼びかけにこたえて、アメリカが食料船を送ったのをはじめ、ロシア農民救援の募金運動が世界各国で広がり、さらにロシアとドイツの国交が回復して、イギリス、イタリア、中国、日本などがソビエト連邦を正式に承認するきっかけにもなりました。

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